アンケートをするときの6つのルール〜その1〜

前回は、大原則として目的と欲しい結果に沿ってアンケートを考えていくことを紹介しました。

今回は、もう少し具体的に考えていきたいと思います。

何を聞くか

まずは、「何を聞くか」という質問内容を考えていきましょう。
今回は、オリジナルで作る方法と既存の質問紙を作る方法を紹介します。

メイン:1からオリジナルで作る

言葉通り、自分たちで内容を考えていく方法です。
その元になるのは、大原則で紹介した研究目的です。
それに基づき知りたいことを聞くことができるアンケートを考えていきます。
とはいえ、この方法には2つ問題があります。

その質問は正しいか?

1つは研究目的と合った質問が作れているかです。
研究目的と照らし合わせてながら作っていても、目的とずれてしまうことが多々あります。
自分たちで作る場合は上司などにも協力を得て内容をチェックしてみるといいでしょう。

不足はないか?

もう1つの問題は、自分たちの聞きたいことが十分に質問できているかです。
質問項目が不足しているアンケートで研究を行うと「あとでこれも質問すればよかった」ということになります。
みなさんが、研究目的について十分に経験を持っていたとしても、不足してしまう可能性は発生します。
複数のメンバーのほか、上司などにも相談しながら作るといいでしょう。
また、先行研究の結果や考察を参考にすることで新たな視点を見つけることができます。

メイン:既存の質問紙を活用する

自分たちで1から作っていく他に、既存の質問紙を活用する方法があります。
看護では多くの研究が行われてきました。
その中には、みなさんの研究目的に合う質問紙があるかもしれません。
しかし、既存の質問紙を活用する際には注意すべきポイントがいくつかあります。

開発者の許諾を取ること

まずは、質問紙の開発者へ使用許諾を取る必要があります。
領域や開発者により考え方が異なり、許諾の必要がないとされる場合もあります。
しかし、日本看護学会では使用許諾が必須とされています。

これは、著作権や研究のオリジナリティーという観点から求められています。
また、研究の蓄積の観点からも有益であると考えられます。

質問項目を変更できない

既存の質問紙は、全体で1つの質問紙として成立するように十分調整されたものです。
基本的に質問項目の一部を変更することはできません
ただし、対象者の状況に合わないなどの事情があれば、開発者に相談することが望ましいとされています。

そのほかの項目

そのほかの項目としては、経験年数や役職などの個人属性と言われるものがあります。
また、感染管理についての研究であれば、手荒れの有無なども含まれます。
他にもインシデントに関する研究であれば、インシデントに遭遇した件数を申告してもらうのもいいでしょう。
これらは、2つ以上のグループに分けて比較検討する指標の1つになります。
経験年数の長短や手荒れの有無によりグループ化することで比較検討が可能になります。

どのように聞くか、答えてもらうか

質問内容の次は、質問の仕方です。
同じ質問でも聞き方により答えが変わることがあります。
また、聞き方がいろんな影響を起こすこともあります。

相手に意図が伝わるか

例えば、インシデント、特に発生の多い内服と転倒に関するインシデントに焦点を当てた研究をするために、次の質問を考えました。

あなたは内服と転倒のインシデントを経験したことがありますか?

この質問に「はい」と答えた人の中には、

  • 内服と転倒のインシデントの経験がある人
  • 内服のインシデントの経験はあるが、転倒のインシデントの経験はない人
  • 内服のインシデントの経験はないが、転倒のインシデントの経験はある人

の3パターンが含まれます。
また、「どちらも経験がある」と考える場合と「どちらか1つ、または両方経験がある」と考える場合にも分かれます。
この原因は、「内服」と「インシデント」という2つの事柄を同時に聞いているために起こります。
今回であれば、2つの質問に分けて聞くほうがいいでしょう。
また、同時に聞く場合でも、「両方」なのか、「1つ以上」なのかがわかるように質問を作りましょう。
いいアンケートの基準は、回答者が「どういう意味だろう」と悩まなずに答えることができることです。
作っているときには気づかないこともあるので周囲からの協力も得ながら作って行きましょう。

答えやすい質問、答えにくい質問

1.あなたの年齢を教えてください。–––(   )歳
2.あなたの年齢を教えてください。–––1.–29歳 2.30-39歳 3.40歳–

どちらも同じ年齢に関する質問ですが、答え方が違います。
1は直接、年齢を答えてもらうのに対し、2は年齢を3段階に分けて答えてもらっています。
どちらが適しているかは研究目的や分析方法に寄ります
ただ、研究協力者には個人情報を守る権利、答えない権利があります。
1の質問を院外、例えば大学の研究者が行う研究であれば答えるけど、院内研究であれば答えたくないという人もいるでしょう。
部署単位や小規模病院での研究の場合は、個人を特定が可能な場合が多くあり、回収率や回答率に影響を与えます。
しかし、1の答え方に比べ、2の場合、分析方法や分析結果を狭めることになります。
そのため、分析の精度を高めるのか、回収率・回答率をあげるのかを検討する必要があります。
また、研究目的に沿ってどれくらいの精度が必要なのか、どのような分析方法を用いるのかも併せて検討しましょう。

まとめ

今回は、「何を聞くか」と「どのように聞くか」について紹介しました。
アンケートを作ることは、アンケートを用いて行う研究にとって核となるものです。
しかし、無計画に作成すると思ったようにデータが取れないなど思わぬ事態を招きます。
十分に検討した上で、回答者の視点も考えながら作りましょう。
次回は、対象者、回数、場所について解説したいと思います。

Let’s enjoy nursing research!!

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